第69回北海道大家塾は、札幌駅最寄りの北農健保会館に会場を設け、コロナ感染拡大防止対策を行なった会場セミナーには50名、You Tube ライブ(限定公開)の同時配信によるWEBセミナーには60名参加の中で開催されました。
第一部では仙台大家の会 現地世話人の 菅原貴博氏にご登壇いただき、これから物件を買おうと思っている初心者の方向けに、融資のお話を絡めながら何から始めるべきか、物件取得には欠かせないシミュレーションの活用・物件取得後の収支改善についてもお話していただきました。
第二部では全保連株式会社 法人営業部齊藤 竜太氏に、保証会社を利用することによるメリットや大家さんが抱える賃貸経営の課題について解決のヒントを教えていただきました。
サポートパートナーの企業紹介は、新しいサポートパートナーの大西正啓司法書士事務所と株式会社朝日リビングさんをご紹介させていただきました。次に「人気NO1都市ガス物件なら北ガスにご相談ください。」の北海道ガス株式会社さん、「大家業専用の高還元率のアメックスプラチナカードがオススメ」の株式会社クレディセゾンさんに会場で紹介PRをしていただきました。
今回は、宅配ボックス導入数国内トップクラスの株式会社フルタイムシステムさんにコロナ禍でニーズが高まっている宅配ボックスについてのミニセミナーをお願いしました。
サポートパートナーブースは新サポートパートナーの朝日リビングさんにお願いしました。
そして前回に引き続き、出入り口横にサポートパートナー企業のチラシを並べ、来場者が自由にチラシをお持ち帰り出来るようにしてみました。
【第一部】
講師紹介
菅原 貴博(Sugawara Takahiro)
仙台大家の会 現地世話人
Smart Hope Square 株式会社 代表取締役
1971年、仙台市生まれ。
小中高大と地元で過ごし、1995年に地元で就職。2002年に結婚し、翌年第一子誕生。このころから将来(育児期間&老後)に向けて、給与所得以外の収入を得ることを意識し始める。
その折、某テレビ番組で競売によるアパート取得の特集を見て、不動産投資を知る。
2003年12月から不動産の勉強を始め、2004年4月に初めての物件(木造1K10戸)取得。
以後これまで、28棟取得(うち、木造新築6棟)、3棟売却。現在は法人、個人で合わせて25棟278戸を所有。その他、野立て太陽光発電所(低圧)を2ヶ所所有。2013年に退職して専業大家に。2008年「仙台大家の会」発足と同時に入会し、現地世話人に。
入会金も年会費もなく、敷居の低い緩やかな大家さんのネットワークとして、現在の会員数は400名を超える。「『学び』と『交流』の場を、仙台に!」をモットーに、懇親会や見学会、セミナーなどを継続開催している。
趣味はリフォーム、ラグビー観戦。
○ 仙台大家の会
『初心者向けのお話とシミュレーションと収支改善
~大家になることが目的ではない!』
昨年9月にも北海道大家塾の講師としてご登壇いただいた菅原さん。
「前回、時間の都合でカットしたら『聞きたかった!』という感想をたくさん頂いた内容をお伝えします (笑)」と大きな反響のあったのが、今回のシミュレーションや収益改善についてのお話でした。
不動産投資に関する話と言えば、多くの人は手法から入ります。そして、大怪我するのが『とりあえずやってみたい』という考えで、始めてしまうことです。
北海道大家塾の理念でもお伝えしている通り、大家業は事業であり大家さんは経営者です。
経営を行なう以上で避けては通れない「数字」の大切さを、菅原さんはこんなひと言から語り始めました。
大家さんになる、不動産投資をすることは、あくまで「手段」です。その『目的』は何か?をまずは考えることです。次に、何年後にいくらまで収入増やしたいのか?という『目標』を明確にしないと、現実的ではない計画を立ててしまった上に、チグハグな手段を選んでしまうことになります。
『仙台大家の会』は、菅原さん自身が東北6県にわたる大家さんのコミュニティとして2008年に立ち上げられました。入会金も年会費もなく、敷居の低い緩やかな大家さんのネットワークとして活動しているため、毎年30名ほどの大家さんが入られるそうです。
その後、2011年の震災直前には「将来、大家さんになりたい!」という大家さん予備軍の個別相談が増え続けたため、「大家さん予備軍の会も設立」。こうして、大家さん予備軍の相談役となった菅原さんは、ある時、「多くの人が似たようなことを相談してくるなあ」と感じられました。
ただ、その多くは
「ボロボロの物件でもDIYで修繕し、5年後にリタイヤしたい!」
「せっかくなら新築物件のオーナーになって、不動産管理会社に全てお任せしたい!」
など、現実味の無い話ばかり。
中には不動産投資ブームに煽られ、「返済比率6割で物件を購入した!」などドキッとする話もあったとか。
自分の見える情報だけを参考にしてしまい、勝手に頭の中でゴールを描いてしまう。
でも、「なぜお大家さんになりたいのか?」という目的は、本来、人それぞれのはず。
「何年後に、どのくらいの年収になっていたいのか?」という目標も、期間が短いほど、できる手段も限られてくるのが現実です。
だからこそ、何のために大家さんになりたいのか?が重要です。お小遣い程度の収入で良いなら、不動産を事業としてやらない方が良いでしょう!株やFXなど他の手段はいくらでもあります。
こうした経験を経て、菅原さんは大家さん予備軍の方々に向け、特に伝えたい大切なことをまとめた配布用の資料を作成しました。
それが、「初心者向けのお話」として語られる以下のポイントです。
― まず、やること!―
1.自己資金を貯める!
お金を貯めるには 収入増やすか支出を減らすしかありません。自分で頑張るしかない所です。
2.融資の仕組みを理解する!
なぜ、勉強する必要があるのか?と言えば、不動産投資、賃貸経営に詳しい銀行マンはあまりいないからです。こちらが不動産の融資に詳しいと銀行マンも緊張感を持って仕事をしてくれるため、融資を受ける可能性も上がります。
一番大切なのは、銀行よりレベルの高い銀行マンとお付き合いすることです。初心者が全てを勉強する時間は無いので、まずは融資を勉強してください。
3.手残りの試算方法を理解する!
知識や経験の無い初心者のころは、自分が思い描く理想と現実に必ずギャップがあります。その途中のギャップを埋めるのがシミュレーションです。
シミュレーションのツールは何でも良いです。無料でもかまいません。目的にそったツールであれば、まずは一個を使えるようになりましょう。数字に基づいて、瞬時に判断できるのがシミュレーションの良い所です。
4.業者さんの知り合いを増やす!
どの物件がどのタイミングでどの業者さんから売りに出るのか?誰にも分からないのが不動産業界の面白い所です。数多くの業者さんと知り合いになれば、物件に出会う確率が上がります。
まずは月に1社ずつで良いので、メールのやり取りや資料請求、またはアポイントを取って面談など、自分の存在を知ってもらう所から始めましょう。
自分も最初に購入した物件はインターネットで検索し、探しつづけました。大家業がある程度の事業になり、11棟目を購入しようと考えた時に初めて業者さんから紹介をもらいました。
「多くのサラリーマン大家さんは、前オーナーが上手く経営できなかった物件を購入し、手直しして売却し利益を上げる所からスタートします。いずれも地道な努力や継続的な活動と勉強が必要!」と、笑顔と分かりやすい説明でお話しされる菅原さんの言葉は、自分の経験をベースにしたものばかり。
それだけに、とても説得力に満ちた力強さがありました。
塾長 原田の感想
菅原さんのセミナーは昨年に引き続きでしたが、一代で25棟278室を築き上げたサラリーマン投資家の緻密な戦略について感じることができましたね。
菅原さんの物件取得の履歴をみると最初はネットで探した物件ばかりをリスクを覚悟して購入。
その後優良な財務内容になってからは、業者さんからの紹介物件が増えてきていました。
そんな菅原さんが今回お話してくれたのは初心者がまず何をやるべきかについてでした。
1.自己資金を貯める
2.融資の仕組みを理解する
3.収益シュミレーションを理解する
4.業者さんの知り合いを増やす
その中でも融資の話は参考になった方が多いのではないでしょうか。
債務償還年数=(借金-現金)÷(税引後利益+減価償却)→20年以内に抑えるということは、利益を出す必要があります。融資戦略上、経費に出来るものを資産計上したり、領収書を破って捨てる(笑)こともしなくてはならないかもしれません。
とにかくこんな事を考えて決算書や確定申告書を作る必要があるということですね。
何でも経費に入れてはいけないのです。
あとシュミレーションの理解。
特に重視しているのはDSCR(私はDCRと呼んでいます)。
NOI(家賃-経費)÷年間返済額→1.2以上絶対。1.3以上は欲しい。
私も同じ数値基準の考えでした。
今回の菅原さんのセミナーは初心者だけではなく、中級・上級者にも非常に学びの多い内容だったのではないでしょうか。是非もう一度、動画で学んでみてください。
【第二部】
講師紹介
齊藤 竜太 (Saito Ryuta)
全保連株式会社 法人営業部
1984年6⽉6⽇生まれ
趣味:スノーボード、ゴルフ、ドライブ
特技:DIY
2015年 債権管理部⼊社
2017年 法人営業部に異動
(⽇本全国の協定会社様に対し、ニーズに合わせたプラン構築を⾏う部署)
全保連株式会社
会社設立:2001年11月16日
資 本 金 :2,350,184,000円(2021年3月末現在)
従業員数:730名(役員含む・2021年3月末現在)
本 社:東京本社・沖縄本社
事業内容:家賃債務保証及び賃料管理リスクヘッジ業務
○全保連株式会社
『保証会社が語る賃貸経営の現状と未来』
「『75,621』 皆さん、この数字は何を示しているか分かりますか?
これは2021年3月中に当社へ家賃の滞納報告があった件数です」
賃貸経営にとって、大きな問題となる家賃の滞納。
全保連株式会社にとって創業の地となる沖縄では「うちなータイム」という言葉がある通り、ゆったりした時間の感覚がある地域のためか、家賃の滞納もまた、地元の賃貸オーナーにとって長年の課題だったといいます。
そのため、全保連株式会社が手掛ける「家賃保証」という制度もまた、全国各地におよそ20か所の営業拠点を置く今でも「エリアの特性に合ったニーズを抽出し、プランを作成・提案する」というスタンスで賃貸経営をサポートされているのが大きな特徴です。
今や保証会社としては業界No.1のシェアを誇る同社ですが、これまで関わった事例の中で「特に賃貸経営のトラブルになりやすいケースは以下の4つ」になるそうです。
1.毎月の家賃・滞納費の変動があった
2.夜逃げ、長期滞納により訴訟となった
3.過去清算費用の滞納があった
4.入居者が居室内で無くなってしまった
1のケースであれば、オーナー自身が自分で請求を追いかけるか管理会社に依頼する形が多く、入金が無ければ問題は解決しないまま。
2の訴訟となってしまうケースもまた、連絡が取れなくなればオーナー側に最終的な問題が残る一方で、訴訟に関わる費用や時間も発生します。また、結果的に訴訟判決が取れない可能性もあります。
「ただし、実際には1や2、4の場合よりも、ケース3のような状況が全保連で
一番ご相談の多い請求のパターンです」と、齊藤さんは言います。
その中で、全保連株式会社は不動産会社を仲介して「賃貸保証契約」でつながっている賃貸オーナーに対しては、滞納報告から3営業日後に「代位弁済(立替払い)」という形で滞納された家賃をオーナーの口座へ送金してくれます。
また、その対象範囲は毎月の家賃だけでなく変動費や退去時の精算費用まで幅広くカバーされています。
このような保証会社の利用が本州の不動産業界で広がりつつある背景は、2017年の民法改正がきっかけとなりました。
以前は賃貸物件の契約は連帯保証人を付けることが一般的でしたが、この民法改正により契約時に連帯保証人にも極度額(限度額)を明記することが求められるようになりました。
また、近年の核家族化や少子高齢化社会が進む社会の中では親兄弟すら「連帯保証人の当てが無い」「頼みにくい」という声も多くなりつつあります。
そこで家賃保証会社が保証を付ける形にすることで賃貸契約が可能となった結果、「入居者が決まるケースも増えつつある」という声もあります。
全保連株式会社もまた、
「賃貸経営の安定稼働」
「充実した保証内容」
「オーナー様への費用負担なし」
「ただし、個人でご契約の際、連帯保証人は不要」
という独自のサービスをオーナー様に提供しつつ、入居者との間に入る形での「三者間契約」を結ぶことになり、過去の入居者に対しても立て替えた家賃の請求が可能となります。
一方で、全保連株式会社のような家賃保証制度を全くご存じない賃貸オーナーもまだまだいるのが現実です。また、家賃の滞納にはコロナ禍による経済活動の停滞や失業も影響するため、齊藤さんがお話された後には会場から様々な質問の声が上がりました。
Q.低い家賃のケースでも、夜逃げなどの調査や対応は行なわれますか?
Q.民法改正以降、札幌でも保証会社さんの精度を利用する賃貸オーナーは 増えつつある一方、家賃の入金遅れもまた増えている印象です。全保連さんも そのような状況だとお考えですか?
Q.入居者が夜逃げしたケースの場合、残置物で部屋がグチャグチャな状況の場合、原状回復費用の保証もできますか?
Q.ガスや灯油代など、オーナー自身がなぜか集金している場合も対象になりますか?
Q.入居まもなく滞納が始まるような常習犯の入居者がいるようなケースは防げるものですか?保証会社さん同士でグループのような形で情報共有はされていますか?
など、実際に起こり得るケースを例に30分以上の質問タイムとなりました。
コロナ禍による失業や貧困の影響もあるため、その現実からは賃貸オーナーやオーナー企業の経営者にとって目を背けることができない現実です。
第二部のセミナーは、齊藤さんの話を通じて、その現実的なリスクを改めて考える機会となりました。
塾長 原田の感想
保証会社はオーナーにとって非常に大切なパートナーでありながらその内容を理解できていない事が多いです。
全保連は不動産会社が代理店なので、オーナーは直接契約はできません。
しかし契約件数、全国NO1ですから不動産会社にとっては使いやすく、保証承認も下りやすいのでしょう。
最後の質問コーナーで沢山の質問が出ましたが、それが非常に良い質問だったと思います。
夜逃げにあったとき、通常は原状回復の保証はできませんが、保証取り扱いの多い会社には特別プランで保証しているケースもあるというのはビックリしましたね。
開催情報が欲しい方は「北海道大家塾通信」にご登録ください
北海道大家塾にご参加したい方は、
「北海道大家塾通信」に登録して下さい。
開催が決まったら優先的にご案内します。
開催記録
●日 時:2021年7月31日(土)
13:30-18:00
●参加人数: 110名(会場参加:50名、WEB参加:60名)
たくさんの参加者の声を頂きました!!ありがとうございます。
沢山のアンケートから一部のみ掲載させて頂きました。
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
融資における債務償還能力について、意識したことがなかったのでとても参考になりました。
伊達市 若狭 保司 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
菅原講師の初心者向けの、まず最初にどのように手を付けるか、不動産事業を始めるか…という話はとても参考になりました。特に銀行とのやりとりとシュミレーションの話は、本当に参考になりました。
旭川市 梅野 牧 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
いつも貴重なセミナー内容を企画頂き誠にありがとうございます。
沢山学ばせて頂いております。またセミナー、懇親会に参加させて頂きます。
札幌市 熊谷 公寛 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
シュミレーション、融資の取り組みのお話が面白かったです。
札幌市 信太 正博 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
シュミレーションソフトを紹介して頂けたことが大変有り難かった。
恵庭市 濵 文章 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
仙台大家の会菅原さんの、具体的な業者さんとのやり取りや、シュミレーションを使った事例が印象に残りました。また、全保連さんのお話は、実際には不動産会社が中間に入っているので、聞けることがなかったので印象に残りました。
札幌市 T・J 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
第1部の菅原さんの講演、大変興味深く拝聴しました。私自身、親からアパートなどを相続しました。それからは誰に相談することもなく、経営や維持管理に悪戦苦闘しておりました。
最近少し落ち着いてきて、追加物件の購入を考えているところでしたので、シュミレーションによる物件購入検討のお話に大変感銘を受けました。
自分で詳細な損益シュミレーションを作成すれば、そのまま銀行さんへの事業計画書の説明資料になるのだと、良くわかりました。今後も度々勉強させていただきたいと思います。ありがとうございました。
札幌市 M・J 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
菅原オーナーの物件シュミレーションの構成を是非まねてみたい。
まずはExcelをいただきたいと思います。
札幌市 O・S 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
アパート1棟の契約が終わったばかりです。もう少し早く菅原さんの話をきけていたらリフォーム等もう少し違った見積りになっていたかも…と後悔しております。(管理会社にお任せしてしまった)今後のための学びになりました。
購入後には保証会社をつける予定なので、全保連さんにお世話になるかと思います。
札幌市 F・Y 様
●今回の北海道大家塾へのご感想をお聞かせください。
菅原さんのシュミレーション、投資指標(DSCR)等大変勉強になりました。
毎度トレンドを学ばせて頂き感謝しています。
札幌市 O・H 様
まだコメントはありません。